1818年(文政元年)の創業という老舗でありながら、新しいチャレンジを続けていることで知られる浜田醤油株式会社の今を知りたくて、数十年ぶりに訪問した。
手入れの行き届いた白と黒の美しいなまこ壁が映える大きな醸造工場に圧倒されながら、工場と一体となった「うさぎカフェ」の和モダンな入り口を入る。
店内には同社が営々と受け継いできた伝統の醤油味噌とともに、次々と開発し続けているおしゃれな容器の新しい醤油・味噌・ドレッシング・調味料などが、まるで美術館の作品展示のように販売されている。
1階のスタッフ女性が商品の説明後、「2階は珈琲、軽食、スイーツが召し上がれますよ」と案内してくれた。
間接照明のために店舗は高級感が漂い、しゃれた階段や古民家にみられる使い古した大きな柱や梁が見事な質感と美しさを見せて品格があり、いつまでも見ていたい気持ちになる。
かの有名な人が建築設計した作品
2階のカフェに上がると、木の香りと美しさが間接照明で際立って、店自体が美術館だ。
カウンターの背後の壁には、崩れかけた土壁(えつり)がガラスの額縁に閉じ込められて一幅の絵画になっている。
「地震で壊れた土壁を飾っている」のだと、カウンターの中から優しそうな女性スタッフ。
さらに「この店の設計は隈研吾です」とも。ここで謎が解けた。
隈研吾は国立競技場ほか無数のビル、施設、店舗などの設計、たくさんの著書で有名な建築設計士。美術館にいるような感覚になるのも当然だ。
「美術館」で珈琲を。
自社製の醤油や味噌を利用した玉子かけごはん、醤油を練りこんだ桝容器の美味しいソクリーム、そして珈琲を頂きながら、この「美術館」を時間も忘れて堪能した。
軽食は他にビーフシチューなどがあり、スウィーツは醤油ソフトクリームのバリエーションが豊富。ドリンクは珈琲のほか目の前で抹茶も点ててくれる。