「餅は餅でも小袖の餅は、かわいい静江の味がする」
この一節小唄の意味はこうだ。
永正14年のある日、宇土城主がお忍びで城下に出て、町はずれの茶屋に入り、餅を食べ、代金を払わないまま出て行った。
茶屋の娘・静江は追いかけてお餅代を請求した。城主は持ち合わせがないため、自分の小袖を切って「これをもって城内に来い、餅代を渡す。」と言って立ち去った。
お客が城主であることを知らされた静江は、自分の無礼が母にまで及ぶことを恐れてお城に行き、「母に罪はございません、私めだけをご成敗ください」と願い出た。
城主はこの孝行な娘にいたく感激し、お金に加えてたくさんの褒美を静江に授けた。
この孝行心と餅の美味しさを褒めたたえて「小袖餅」と名付けられたという。
小さいころに父親が手土産として、指先でぶら下げながら買ってきてくれたこの餅に小躍りして喜んだものだ。
兄弟姉妹で数えながら分け合って優しいこの餅を、一口一口大事に食べた記憶は今でも残っている。
宇土市には同じような餅で「うと餅本舗城南堂」の「うと餅」というのがある。
創業明治35年(1902年)の老舗で、こちらも小さくアンコ入りで優しい食感の一口サイズ。味も小袖餅と遜色はない。
熊本の人は小さいころから親しんでいるが、県外の人にも「熊本でしか食べられない逸品」としてぜひお勧めしたい。
小袖餅本舗「小袖餅」
本店 熊本県宇土市城之浦町10
3号線支店 熊本県宇土市三拾町118-1
電話 0964-22-0246
営業時間 本店 7:30~/3号線支店 9:00~
ともに売り切れ次第終了(数量限定)
定休日 火曜日または水曜日
小袖餅 https://city-uto.com/archives/1132